1つ強烈なエピソードを紹介しましょう。
「会社のお金を入れたカバンを電車の棚に置き忘れてしまった! 父さん助けて!300万円が今すぐに必要なんだ!」という息子の悲痛な叫び。
「何とか息子を救ってやりたい!」というのが親心というものです。
そして、そんな親の愛情を餌食にするハイエナのような洗脳師。
役柄が3つ揃って、オレオレ詐欺という犯罪が出来上がります。
言わずもがなですが、騙されたお年寄りは、119%洗脳されています。
そして、その70代の男性の頭の中は、ただただ「息子が会社を首になったら大変だ!何とか息子を助けてやりたい」という気持ちでいっぱいで、その思いがグルグルと渦を巻いていたのでした。
でも、冷静な第三者から見れば、少しだけ注意を払うだけで「ちょっと変だぞ」ってわかります。
だから、いぶかしく感じた銀行窓口の女性は、何とか思いとどまらせようと説得にかかりました。
にも関わらず、息子を救うためであれば、いかようにでも物語を作って、銀行窓口の女性の説得を振り切ろうとするのです。それが親の愛というものなのかもしれません。
事件を聞いて駆けつけた警察官も、二人がかりで何とか説き伏せようとするのですが、全く聞く耳を持ちません。
そして、ついに、警察から通報を受けた「渦中の息子」が現場に駆けつけたのでした。
「父さん!俺はカバンなんてなくしていないよ!その電話は俺じゃなくて、振り込め詐欺の犯人だよ!!」
息子の口から真実が語られた時、果たして父親はどんな反応をしたか?
皆さんは、想像できますか?
その父親は、息子である「たかし」に、こう言ったのです。
「たかし・・・。 お父さんは、お前のことを信じているんだ。 おまえが本当のことを言えないってことくらい、お父さんはわかっているんだよ。 おまわりさんが居る手前、言いづらいのかもしれないが・・・・、お父さんには隠さなくてもいいんだよ。 もう、心配はいらないぞ・・・。 300万円は、ちゃんと用意してあるから 安心しなさい!」
・・・・・(–;)
そうなんです。
お父さんの頭のなかでは、既にストーリーが出来上がっているのです。
つまり、完全に洗脳されているのです。
恐るべき詐欺師たち、おそるべし洗脳師たち。
昨年1年間の被害総額は363億円です。
こんなエピソードが毎日何百件も発生して、毎日1億円もの莫大な大金が、お年寄りからむしり取られているのです。
「そんなの関係ねぇー」って、知らんぷりなんかできませんよね?